それでもあなたと結婚したいです。

デパートの中を見て回り、ノースリーブの涼しげなワンピースを見つけた。

羽織るようにカーディガンも合わせて買う。

気に入った服も手にいれたし、ウキウキと歩いているとランジェリーショップに通り掛かった。

ショーウィンドーにはマネキンが可愛いベビードールを身に付けて誘うように笑っている。

セクシーだけど可愛いデザインで目を引いた。


(可愛い………ベビードール買ったこと無いけどこれなら着れそう。まぁ、今日は披露することは無いだろうけど気分だけでも高めたいし、買っちゃおっかな?)


あの日以来、私達の間には何もない。

千春さんの身体は前の様にそうゆう行為を拒絶し、私を求めることはなくなっていた。

凄い寂しい事だけど、今の千春さんにはどうしようもない。

ただ、前と違うのは私達は心が繋がっている事だ。

今の私にはそれだけが心の拠り所だった。


「いらっしゃいませ!お客様!こちらの商品は入荷直後から大人気なんですよ~!彼氏さんも大喜びすると思います!いかがですか~?」


わざとらしい店員の常套句が最後の一押しとなって私は心を決めた。


「じゃあ、このピンクのフルセットお願いします!」


「ありがとうございま~す!フルセットお買い求めのお客様にオリジナルの香水もプレゼントしてますので一緒にご利用下さい!」


「ありがとう。あ………綺麗。」


可愛い小瓶にはピンクのリボンが付いていて、中には薄紫の液体が揺れていた。


「ありがとうございました~!」


入り口まで店員のお姉さんが見送ってくれて、私はデパートの化粧室に向かった。

ここの化粧室は広くて綺麗で、まるでホテルのように豪華だから特に気に入っている。

ソファーや個室のメイク室もあるし、着替えるには持ってこいだ。

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