それでもあなたと結婚したいです。
ピクッと女の顔がひきつった。
「年を取っていく事は素敵な事よ。皺の一本一本にその人の人柄と歩んできた人生が出るの。私はまだまだだけど、周りの尊敬する人を見れば分かるわ。でも、あなたのその作り物の顔は無理に皺を無くして何一つあなたが残ってない。あなたには中身がないのよ。だから誰の心にも残らない。お義父様に愛される筈がない!!」
「あんたに何が分かるのよっ!!」
日登美は叫び声と共に手を振りかざした。
バシッ!!
花枝の頬を思いっきり殴ると女は怒りに震えて立っていた。
「あんたなんかに………あんたなんかに………何が分かるのよっ!どうせ、何の苦労もしないで親に守られ、ずっと幸せに生きてきたくせにっ!!」
頬に手を当てて花枝は俯いたまま黙っている。
「何か言いなさいよっ!!」
彼女はゆっくり顔を上げて堂々と日登美を見据えた。
「フフフフッ…………だから今頃付けが回ってきてるのかもね。………でも、私はそれを人の所為にしたりなんかしない!自分で選んだ道なんだから何も恥じたりなんかしない!それ以前にあなたのような醜い生き方は絶対、絶対しない!!」
言い負かされた女は又、手を振りかざしている。
花枝はそれが分かっていても微動だにしなかった。
「このっ!!」
ガッ!!
「もう、いい………。これ以上妻を傷つけないでくれ。」
あんなに動かなかった身体が嘘のように、俺は日登美の振りかざした手首を掴んでいた。
「千春くん………!!あんな女の何処がいいの??人を侮辱して、気分が悪いわ!!」