それでもあなたと結婚したいです。
約束の日、当日。
一緒に出掛けるのかと思ったら千春さんは朝早くに家を出て、私が起きた頃には既に姿は無かった。
置き手紙に待ち合わせ場所の指定があって、別々に行こうとの事だった。
「一緒に行けばいいのに………変なの。」
ちょっと寂しい気持ちになったけど、気を取り直して朝の家事をこなした。
この日の為に新調した服に着替えて家を出る。
待ち合わせの場所に着くとまだ、千春さんは来ていない様だった。
周りの人をボーッと眺めて時間を潰していると急に声を掛けられた。
「花枝ちゃん!!」
「えっ?ミレイ………?!どうしたのこんな所で?」
「花枝ちゃん大変なの!!プロデューサーに急遽CM用の衣装が必要って言われて持ってきたんだけど、ここの場所が分からなくて、ずっと探してるんだけど見つからなくて………どうしよう…このままだと遅れちゃう!!」
半分泣きそうな顔でミレイはパニクっている。
「何処に持っていけばいいの?」
「ここなんだけど………。」
「何時まで?」
「10時!」
時計を見ると9時半を回っていた。
「大丈夫よ!!落ち着いて…。行きましょ!!」
「花枝ちゃん、いいの?何か用事があったんじゃ………。」
不安そうな彼女の頭を撫でて落ち着かせる。
「大丈夫。彼なら分かってくれるわ!さぁ、行くよ!」
私は直ぐにタクシーを拾い、その住所まで急いだ。