それでもあなたと結婚したいです。
「ごめんね………ごめんね………。」
車内でもずっと泣きそうな顔で謝ってくる彼女をなだめながら、私は何とか間に合います様にと祈っていた。
到着してみると意外なほど近く、入り組んだ場所でもなかった。
真っ白い洋館は撮影にはもってこいの場所のようにいい雰囲気だった。
「ほら、ミレイ!!間に合ったよ!急いで!」
「うん!!」
さっきの不安な顔が嘘のように彼女は元気になっていた。
「衣装渡すだけだから、花枝ちゃんも一緒に中で待ってて。」
「分かった。」
私はミレイの背中を見送りながら携帯を取り出した。
さっきから千春さんに掛けているのに全く繋がらない。
メールの返信もなかった。
一瞬、嫌な予感がして、私は早く帰ろうとミレイを捜しに向かった。
洋館の中は、撮影をするにしては静かで人気がなかった。
数ある部屋の扉を開いて中を覗くけれど、ミレイすら見当たらない。
一番奥の部屋をノックする。
返答がないので恐る恐る開けると、そこには真っ白いドレスが飾られていた。
「わぁ………綺麗………。これ、もしかして、ミレイのドレス?」
「そうだよ。」
カチャン………
後でドアを閉める音と共に聞き慣れた声が響いた。
「千春さん?!何で?どうしてここに?!」
「俺達………今日、ここで結婚式を挙げるんだ。」
「えっ?」
「花枝………本当の結婚式を挙げよう。」