それでもあなたと結婚したいです。

ミレイの作ったドレスは私の理想そのものだった。

ふわりと軽い七分丈のレースの袖。

たっぷりとしたドレープがきいたAラインのドレス。

露出し過ぎない、清楚な花嫁のイメージにぴったりだった。


「最後にこれで終わり………。」


ミレイが頭にベールを乗せてくれた。


「花枝ちゃん…すっごく綺麗だよ!このドレスは私の気持ち…受け取って。」


「ありがと………ミレイ~…。」


「ほら!もう、泣いちゃ駄目!一番綺麗な姿を旦那様に見せるんでしょ?」


「………うん。ありがと…真弓…。」


「私達の役目はここで終わり…チャペルで待ってるから、呼ばれたら花枝はこのドアを開けて真っ直ぐ正面の扉まで行ってね。」


「分かった。」


二人が部屋を出て行った後、私はもう一度、鏡に向き直った。

久し振りに鏡の中の自分に話し掛けてみる。


「花枝…おめでとう。お姫様みたいで凄く綺麗だね。ずっと夢だったウェディングドレス着れて良かったね。こんな素敵な式を準備して貰ってあなたは本当に幸福者だよ………今日の日を忘れないで、しっかり目に焼き付けるのよ!いいわね!!」


鏡の中の自分はニッコリ笑って頷いた。


「二度目の結婚式おめでとう!!」


コン、コン………


「新婦様…、準備は宜しいでしょうか。」


「はい………今行きます!」


「じゃあ、行ってくる!」


最後に私は鏡の中にウインクをして、扉へ向かって歩き出した。



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