それでもあなたと結婚したいです。

やっとのことで壇上に着くと千春さんは私と向かい合うように横を向いた。

白いタキシードが眩いほど似合っている。


(千春さん…凄く素敵だよ………。)


心の中で呟くと、千春さんはニッコリ笑い、私の耳元に語りかけた。


「花枝…凄く綺麗だ。」


彼はいつも、大事なものでも見るように、優しい目で私を見つめてくれる。


「………今日は来てくれてありがとう。俺達の事を知る人だけのささやかな式だけど、皆の前で誓いたいんだ。」


涙が溢れて言葉にならなくて私はただ、情けなく頷くばかりだ。

千春さんがそっとベールを上げた。

泣き腫らした顔を嬉しそうに見つめて頬を拭うと、私の両手をゆっくり握った。


「欠陥だらけの俺だけど………貴女に一生の愛を誓います。ずっと一緒に居てください。俺と………結婚してくれますか?」



「うぅ………………ちは………る…さん………ー」



「花枝…返事は?」



「私だって………欠陥ばかりで………ー」



「………うん。」



「全然良い妻じゃない…けど………ー」



「………うん。」







「それでも………ー」






「それでもあなたと…結婚したいです!」





二度目の結婚式。

満面の千春さんの笑顔に迎えられ、この日、私達は本当の夫婦になった。


後の夫婦の甘々な新婚生活は、また別の機会に………。











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