それでもあなたと結婚したいです。
ガタガタッ
手首を掴まれて後ろの棚に追い詰められる。
「花枝…俺を誘ってんのか?ふざけてんのか?」
「………………。」
藤森の瞳が急に真剣な色を帯びてきた。
見つめ合う二人。
(こうなったら絶対キスしてくる……。)
欲求不満のせいか、無駄口を叩かなくなった藤森は少し格好よく見えてくる始末。
(ヤバイ……。これが、千春さんだったら……。)
長身の藤森に合わせて顎を引き上げられる。
「花枝…。」
腰をぐっと引き寄せられる瞬間、我に返り思いっきり蹴りあげた。
「痛ってぇーーーーーっ!何すんだよ!!」
「そっちこそ、ムラムラさせないでよ!バカ!!」
(何やってんのよ私………千春さんが相手してくれないからって…最低。)
言うだけ言って立ち去る。
内心は心臓バクバクしてたけど、脳内は千春さんでいっぱいだった。
「ムラムラって、俺に?………プッ…女が言うか普通。……やっぱいいわ、お前。」