それでもあなたと結婚したいです。
(やっぱりダメだ。夫婦間の問題だし、この人に話すなんて……千春さんの沽券に関わる。)
「それじゃあ、私はこれで……。」
「何も話さなくていいのですか?」
「えぇ、大した事じゃないので……。」
(うぅ~~話したい。話したいけど……ダメ!)
「そう………ですか。それならお気をつけて。何かあったらいつでも連絡ください。」
黒木はにっこりと営業スマイルをしながら名刺をよこしたけど私は引ったくるようにして、その場を後にした。
静まり返った黒木結婚相談所の事務所。
「クックックッ………。」
「先生?意地が悪いですよ。彼女、見るからに悩みまくってたじゃないですか?」
「いや~~、ククッ……やっぱり彼女はいいよ。彼の事を考えて自分で解決しようとしてる。他人に頼らない。負けん気が強い。……本当に彼にはピッタリだ!!」
「まだ、助け船を出さないのですか?」
「ああ、彼女が出来る所まで見守るよ。真実を知って、彼女がどう出るかも見たいしね。」
先生はたまに患者で遊び出す時がある。
最終的には上手く治めるけど………。
「先生、次のお客様がいらしてます。」
私は単なる先生の補佐。
考えた所でどうしょうもない。
とにかく今は、次の仕事に専念する事にした。