それでもあなたと結婚したいです。
日曜の昼下がり、両手にスーパーの手提げ袋を持って私はマンションの前に立っていた。
「千春さん家に居るかな?」
(自分の家に帰るのになんでこんなに緊張しなきゃいけないのよ。まったく。)
玄関の扉に、暗証番号を入力して鍵を開けた。
扉のノブに手を掛けようとすると、急にドアが開いた。
「わぁっ!!」
バランスを崩して後ろに倒れそうになる所で誰かにぎゅっと抱き締められた。
「おかえりなさい………。」
声の主は紛れもなく千春さんだった。
「千春さん………、あの私……」
どう答えていいかうつ向くと、千春さんの腕の隙間から、彼の裸足の足が見えた。
(そんなに私の帰りを待っていてくれたの?)
千春さんの二週間分の思いに胸がぎゅうっと苦しくなった。
「……ただいま……。」
「うん……うん………おかえり……。」
千春さんはそう言って、もう一度ぎゅっと私を抱き締めた。