それでもあなたと結婚したいです。
ニコッと笑って千春さんは何の余韻もなく、あっさり私から離れた。
「俺が準備します!冷蔵庫ですか?」
「あっ、はっはい。」
またもや嬉しそうに駈けていく。
(はぁ~~~……前途多難。この寸止め状態、いつまで続くのかなぁ~~。せめてキスくらいは普通にしたい。)
心頭滅却すれば火もまた涼し。
昔の人もよく言ったもんだ。
私より酷い煩悩があったのだろうか。
しかし、下心の無い男なんて会ったこと無いし、子供ならまだしも、成人男性のこれまで無垢な様は見たことない。
大体がうんざりするほど性欲があるのに、それに比べたらまるで聖人みたいだ。
そう言えば、めっちゃ絶倫の彼氏がいたっけなぁ~~。
あんまりだから、うざくなって別れたっけ。
「花枝さん!持って来ましたよ!一緒に食べましょ!」
(うおっと、危ない……どっかに意識が飛んでたよ。)