Am I What Colors?ー元姫の復讐ー
興奮した周りの観客も応戦してきたが、結局俺の一人勝ちだった。
「……これが【雷神】かよ、つまんねぇな」
そう呟くと、スキンヘッドは悔しそうに顔を歪めて走り去っていった。
それを見届けてカウンターに座り、酒を一杯飲んだ。
……時刻は1時を回った頃。
そろそろ帰るか。
咲誇が心配だ。
バイクのキーを掴んで立ち上がると、バーテンの「いらっしゃいませ」という声が聞こえて、なんの気なくそちらを見た。
その瞬間……自分の目を疑った。
多分、その客を見つめていたのは俺だけではないと思う。
バーの客全員が、そいつを見ていた。
そいつは店内を見回して俺に気が付くと、ニヤリと笑って近づいてきた。