Am I What Colors?ー元姫の復讐ー
「あんたの手下が俺の女に絡んでたんだよ。喧嘩売って悪ぃか?」
「黙ってろ諒真」
蓮央に止められ、諒真さんは大人しく口をつぐむ。
「お前の女ぁ?それって……お前が隠してるそいつか?」
二階堂が、私に目を向ける。
攻撃的なその目に、恐怖を覚えてキャップを深くかぶり目を逸らした。
「なぁーんか誰かに似てるんだよな……その女」
『誰か』の部分を強調し、二階堂が顎に手を当てる。
それがわざとなのか、本当に考えているのかは分からない。
「この女はどうでもいいだろ。喧嘩を売るなら買うが、お前一人で俺らの相手をする気か?」
蓮央が上手く話を逸らした。
「んなわけねぇだろ~?勝てねぇ戦はしない主義でなぁ~」
二階堂はへらへらと笑ったあと、フッと笑みを消した。
「次俺らに喧嘩を仕掛けたら…殺るぞ」
ひんやりと凍る空気。
蓮央と二階堂は少し睨み合ったあと、互いに薄く笑って、背を向けた。
「行くぞ」
蓮央の声にハッとし、去る二階堂の背中を振り返ることなく私も歩いた。