Am I What Colors?ー元姫の復讐ー
30分くらい走ったとき、蓮央が前を向いたまま口を開いた。
「咲誇、目ぇつむってろ」
「へ……?」
「早く」
素直に目をつむり、落ないように背中にしがみつく。
すると、すぐにバイクが止まる音がした。
「まだ目開けんなよ」
蓮央の声がしたかと思うと、腰に回していた手を外され、代わりにふわりと持ち上げられる。
「掴まってろ」
言われるがままに蓮央が着ているパーカーを握ると、微かに柔軟剤の香りがした。
私と同じ匂い。
なぜか嬉しくなって、胸に顔をうずめた。