Am I What Colors?ー元姫の復讐ー



「諒真さん」



蓮央の腕から抜け出し、諒真さんの前に立つ。



「マンションで諒真さんに質問された時、私、言ったよ。
私は、溺れている子を助ける。鮫に食われるとしても、黙って見殺しにするよりマシだって。
キレイ事だって思うかもしれないけど、もう嫌だから。仲間が傷つくのを黙って見守るのは」


「でも、俺のせいでみんなを傷つけたくねぇ……」



戸惑うように私を見る諒真さんに、笑いかけた。



「傷ついているのは、諒真さんも同じ。だからこそ皆が、助けたいと思うんだよ。溺れているなら、この手に掴まって。必ず引き上げるって、約束するから」



手を、諒真さんに差し出す。


私がここに来たあの日、蓮央がしてくれたように。



「でも……」


「……諒真先輩さぁ」



なかなか手を掴もうとしない諒真さんにイラついたように、歩がゲームの電源を切ってこちらを向いた。



「前から馬鹿だとは思ってたけど、ここまでのクソ馬鹿だとは思わなかった。」


「……は?」



歩の言葉に、そこにいる全員が口を開けて彼を見る。
< 256 / 469 >

この作品をシェア

pagetop