Am I What Colors?ー元姫の復讐ー
「っ……!!」
蹴られた横っ腹を押さえながらなんとか立っていると、上から声が降ってきた。
「ようやくお出ましか、睡蓮の姫」
また、この声…………
その声で、顔で、何人の女を騙してきたんだろう。
大嫌いな、あいつ…………翠斗……
「一人でのこのこ来やがって。バカにもほどがあるだろ」
翠斗は私を見下ろしながら、また腹に蹴りを入れる。
「ぅあ゛…………!!」
胃がせり上がってくるくらいの痛みが走った。
これでも翠斗は手加減しているんだろうけれど、下手したら気絶する……。
「廊下で会ったとき、お前を再起不能にしてやってもよかったんだけどな。でもそれじゃあつまんねぇからさ、いい方法思いついたんだよ」
不敵な笑みを浮かべる翠斗。
「お前と【睡蓮】、同時に再起不能にしてやる方法」
同時に、再起不能・・・!?
「な、にする気…………!?」
「まずは……お前と取引だ」
ストン、と、翠斗はうずくまる私の前にしゃがみ込んだ。
「【睡蓮】の総長とお前、愛し合ってるらしいな?」
「……何言って…………」
「とぼけんなよ。調べはついてる。
・・・で、だ。そいつに電話して別れろ」
「…………はぁ…?」
意味が分からない。
別れるって……そういうことでしょ?