Am I What Colors?ー元姫の復讐ー
「…………やるよ……」
「契約成立だな」
嬉しそうに笑った翠斗は、私の腕を引っ張って立たせた。
足元がふらつき、腹が痛い。
「演技をすると言っても、何か言われたら困るからな。黙って俺の隣にいろ。必要なこと以外は話すな。少しでも逆らえば、その瞬間に約束は無効だ」
「……わかった………」
「俺らを裏切った後は、睡蓮を裏切るか。……ほんとお前って、裏切り者だよな」
翠斗の言葉が胸に刺さる。
【桜蘭】では、『裏切り者』のレッテルを貼られ。
【睡蓮】では、翠斗の作戦によって裏切りを余儀なくされ。
私にはもう、居場所なんてない…………
「お前を独りにするのがこんなに楽しいとは思わなかった。いい暇つぶしになる。感謝するよ」
翠斗が本当に楽しそうに呟く。
これは、彼にとっては『ゲーム』。
スリルを味わうための、ただの遊び。
この遊びは、桜蘭にいたときも何回かあった。
卑怯な取引で相手の反応を楽しみ、そして最後には泣き叫ぶ声を聞いて楽しむ。
それが翠斗。
本当に……狂ってる。