Am I What Colors?ー元姫の復讐ー





その瞬間。





「咲誇っ!!」





待ち焦がれていた、愛しい声。


私を呼ぶ、あの人の声。



「咲誇!!」



開かれた屋上のドアの入口に立っているのは、大好きな大好きな、蓮央。


風になびく青い髪を見た瞬間、思わず呼んでしまいそうになった。



「蓮央……っう……」



それを許さないというように、翠斗が私の腕を握る手に力を込める。


そして、蓮央を見据えて笑った。



「やっと来たか。来ないかと思った」


「お前が翠斗とかいう奴か……」



蓮央は翠斗を睨みつけ、怒りを込めて拳を握る。



「咲誇を返せ」


「それは出来ないな。コイツは俺の彼女だ」


「……それは、本当なのか?咲誇」



蓮央が確かめるように、私を見る。



違う……


違うよ、蓮央。


私、こんなやつの彼女なんかじゃない。


私は、あなたのものだよ。



そう言いたいのに。

< 344 / 469 >

この作品をシェア

pagetop