Am I What Colors?ー元姫の復讐ー
波打ち際に下ろすと、彼女は海を見て目を輝かせていた。
「蓮央さん……ここは?」
「ここは、『大漁海岸』っていう所だ。今ちょうど冬だから、空が綺麗だろ」
「はい……!とっても綺麗…………」
咲誇は微笑みながら、空を見上げて手を掲げる。
「まるで、海全体が宇宙みたいですね!」
「…………そうだな」
前に来た時と同じことを言う咲誇に、切なくなる。
記憶が無くなっても咲誇は咲誇なんだな。
「ほんとに、宇宙みたい……………宇宙?」
そう呟いた咲誇は、少し顔をしかめた。
「宇宙……宇宙…………宇宙………………?」
「咲誇?」
なぜか『宇宙』だけを連呼する咲誇。
俺、何か変なこと言ったか?
「宇宙……宇宙……宇宙………………」
ひたすらそれを呟きながら砂浜を歩き回る咲誇は、突然屈みこんだ。
「さ、咲誇?悪ぃ、バイクで酔ったか?」
乗り物酔いかも、と駆け寄って背中をさする。
「……ゅ…………ん」
「え?」
咲誇が呟いた言葉が聞き取れず聞き返すと、彼女は振り向いて、はっきり言った。