Am I What Colors?ー元姫の復讐ー
○いよいよ
それから何ヶ月も経った。
私は臨月を迎え、大きくなったお腹をなでながらソファーに座ってテレビを見ていた。
病院の先生には、もう少しで予定日だから安静にしてなさいと言われたから。
蓮央は私を気遣い、家事をすべてやってくれている。
そんなに過保護にしなくてもいいのに……。
そう言っても、蓮央は「負担がかかったらどうするんだ」の一点張りで慣れない家事をしてくれている。
ちなみに、子どもの名前は決めてある。
『葵』
男の子と聞いていたから、葵の花の花言葉『野心』に、無限の可能性を願って、そう決めた。
蓮央も気に入っている。
…………喉乾いたなぁ。
コップの中にあった麦茶は空になっている。
冷蔵庫からなんか持ってこよう。
と、ソファーから腰をあげたとき。
ズキンッと、腹部に鈍い痛みが走った。
「っ………!」
お腹が張り、立つこともままならない。
「れ…おっ……蓮央っ…!!」
「咲誇?」
必死で蓮央を呼ぶと、台所から蓮央が顔を出した。
「さ……咲誇!!」
慌てて私に駆け寄ってきた蓮央は、すぐに車を出した。
お父さんの『専属運転手』として雇われた蓮央が、送り迎え用に使っている車だ。
病院に着くと、「産まれますね」とものすごく冷静に言われ、私は分娩室に運ばれた。
運ばれる途中、不安げな蓮央の顔が見えた。