Am I What Colors?ー元姫の復讐ー
蓮央は私の隣に座って、長い脚をくむ。
「悪ぃ、ギリギリだ」
「ホントだよ……間に合わないかと思った」
蓮央は今、仕事用に黒のウィッグをかぶっている。
流石に仕事で青髪はダメだと言われたかららしい。
黒髪でも整った顔は引き立てられ、周りのお母様方がちらちら見ている。
「ねぇ、さっきの『葵』とかいう子さ……」
また、あの3人組がひそひそ話し始めた。
「そうそう、顔はすごく可愛いけどねぇ」
「無垢な顔して、髪を染めるなんて。将来ロクな大人にならないわよぉ?父親の顔が見てみたいものね!」
「あーあー、親にも子供にも関わりたくないわぁ!」
ハハハ……こっちも関わりたくないわ。
心の中で苦笑いしていると、隣から春とは思えぬ冷気が漂ってきた。
ま、まさか・・・?
恐る恐る、隣を見ると……
「れ、お……?」
黒髪の彼が、氷の微笑を浮かべながら3人組を見ていた。
その目は殺気を宿っています、はい。
「咲誇……あいつら誰?」
【睡嵐】元総長が降臨しちゃった……!!
「………葵のクラスメイトの親です」
「クラスメイトか……。この後、教室行くよな?」
「行くけど……それがどうかした?」
そう尋ねても、蓮央はずっと不敵に笑うばかりだった。