Am I What Colors?ー元姫の復讐ー
「行くぞ」
「は? どこに?」
唐突に言われ、戸惑ってしまう。
歩はだるそうに振り返って、私の手を掴む。
「あの空き教室に決まってるだろ。もう用は済んだんだろ?」
「済んだけど……私がいると邪魔じゃない?」
「...何言ってんだよ。邪魔だったら来た時点で追い出してる。それに、蓮央さんからお前を守れって言われてるからな」
ぶっきら棒に言って、彼は私の手を引っ張っていく。
もしかして……心配してくれてる?
私が、変なのに喧嘩売られないようにって。
これが、もし歩の優しさなら……
歩は、不器用なのかな?
もったいない……その優しさを表に出せば、少しは王子っぽくなるのに。
クールで毒舌なその表情の裏に、不器用な優しさを持つ王子の顔を発見した昼休みだった。