キミが笑ってる、この時間が幸せなんだ。
1章
オネガイ
私は柊 愛魅(ひいらぎ めぐみ)。
普通に普通の高校1年生。
平凡な頭、顔、運動神経。
目立ちもしなければ陰気な訳でもなくて…。
そんな私でも憧れる事がある。それは…。
「あぁぁぁぁ、恋を叶えたいよぉぉぉ…。」
「どしたの?またなんかあった?」
こうやって毎回相談に乗ってくれる友達、萌(もえ)。
ネガティブな事を言っても優しく慰めてくれる大好きな親友。
「あのね、錦先輩、彼女出来たらしいの…。前までフリーだったのに…。タイミング図って告白しようと思ってたのに…!!」
「それ、一ヶ月前も言ってたよね?」
「うっ…。タ、タイミング図ってたの!」
「2人になったとき、何回かあったよね?そもそも愛魅、自分から話しかけた事あったっけ…?」
「うぐっ…。は、恥ずかしかったんだもん…。これで私は何回失恋しちゃったんだろう…。ぐすっ…。」
私は萌に言葉の槍を浴びせられ、耐えられずに机にうつ伏せた。
そんな私の頭をよしよしと撫でてくれる萌。
「はいはい、よしよし。辛かったね…。」
「ふえぇ…。も、萌~~~~~…。」
「次の恋は頑張って叶えなよ?」
「う、うん!頑張るよ~…。」
「って、この言葉、私何回言っただろ…。」
「えへへ…。」
そう、私は現在高校1年生。
だけど、人生で彼氏なんて出来たことが無い。
いつもいつも失恋ばっかり。
小学生の時は、告白さえできなかった。
中学生の時は、告白したものの返事が返ってこなかった。
そして今。
錦 帝人(にしき みかど)さんっていう一つ上の先輩の事を好きだったんだけど…。
タイミングを図ってたら、失恋してしまった。
「次の恋こそ、両思いになれるといいのにな…。」
そんなことを呟いてた私は、まだ気付いてなかったんだ。
本当の恋は、もっと激しく、苦しいものだって事を。
キミに、出会うまでは。