檻の中から捧げる君への嘘










細すぎるその手には


持たされたナイフは


とても重かった覚えがある




けど


気持ちは怖いくらいに


落ち着いていた



目の前で余裕そうな


笑みを浮かべる男を見て


どうやって倒そうか


頭の中で考えた






考えているうちに


鐘がなって


男は私を倒そうと


物凄い勢いで走り出した






その動きも私には


ゆっくりに見え


そのまま走ってくる男の


足を引っ掻けて


転ばせる




会場から笑いが起こる


転んだ男は


あまりの恥ずかしさに


真っ赤な顔で


私を睨み付ける






男の目に殺意が生まれる












殺られる










そう思った瞬間


私の身体は


今まで感じたこともない


感覚に陥り


身体が自然と動き出す














< 11 / 33 >

この作品をシェア

pagetop