檻の中から捧げる君への嘘










なんだか伝えたところで



また彼の思い通りになるんだろうと



思うと言うに言えなくなる







「いえ。なんでもないです」



「…………」






私の答えに不服なのか



何を言うわけでもなく



足だけを進めていく









街に着いてからは



アンバーとして彼の買った



商品の荷物持ちをする



全部私に持たせてくれれば



いいのに彼はそうはしない





優しさなのか



それとも私が出来ないとでも



思っているのか……













「俺の買い物は一通り終わったけど



苑は何か欲しいものあるか?」






買い物を初めてから



一時間がたち彼が私に問う



アンバーのために



何かを買ってあげるなんてことは



本当は許されない





でも。私は少し違う






あの小屋で一番の私は



人間から買ってもらうことを



許されている



勿論、自分で何か買うのは



許されてはいないけど










「…………檻の皆にお土産を買っても?」



「またか?たまには自分の


欲しいものを買えばいいのに」








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