檻の中から捧げる君への嘘
別に倒そうと思えば容易だが
そんなことをしては
かえって状況を悪化させるだけ
銀…遅いな
嗚呼。でも彼なら私を
庇うだろう
彼に迷惑はかけたくない
「ほら!早く歩け!」
「………………」
「待て!」
私が立ち上がり歩き出そうと
した瞬間
私たちを止める声が聞こえた
それは銀のものではない
「そいつ…何もしてねえよ!
転んだ男の子を心配して
駆け寄っただけだ!」
私のことを見ていたのか
駆け寄ってきた男は
一部始終の説明をする
「そんなはず、
おい僕…そうなのか」
「っ………………」
さっきまで私の話を聞こうと
しなかった人々は
怪訝そうな表情で
男の子を見る
そして
小さく頷いた男の子に
人々は罰が悪そうに
口を閉ざした
「謝れよ」
「「「「っ、」」」」
男のその言葉に
私も人々も驚きを隠せない
「はっ、アンバーなんかに
俺たちが謝れだと!
ふざけるな!!」
「間違ったことをしたんだ
謝るのは当然だろ」
何を言われても退かない男に
私の方が焦り出す
だって
こんなことしたら
「まさかお前
アンバーの肩を持つのか?
お前も警察につきだしてやる」
悪い予感はあたる
私を助けたことで
その男までもが被害にあう
どうしよう