檻の中から捧げる君への嘘
「おい、何してるんだ」
そのとき
聞き覚えのある
重低音な声が
私たちを再び止める
「ぎ……ん」
私は思わず声に出して
彼の名前を呼んでしまう
「俺のとこの使用人が
何かしたか?」
「こいつらがっ……!
いや…なんでもない」
人々は銀を見て
何か言うのを止めた
多分それは
人間の中でも階級が存在し
銀のつけているブレスレットが
中でも上のものということが
わかったからだ
人々は私たちから離れ
その場を去っていった
「大丈夫か?苑」
落ち着いたその声は
私を安心させる
「はい。ありがとうございます
銀……買い物は?」
「ああ……まだだ
外が慌ただしいと思って
見てみたら変なことに
巻き込まれてるから……」
銀はわざわざ
来てくれたのかと思うと
嬉しさの反面
申し訳なさが強くなる