檻の中から捧げる君への嘘
「ご迷惑おかけしました」
「いや…とりあえず
会計を済ませてくる
君もありがとな」
銀は私を助けた男に
感謝の言葉を伝えると
再び店に戻っていった
「大丈夫?」
「えっ……あ、うん」
私を助けた男は
私の方を向いて心配そうに
見つめてくる
「その手……痛いなら
病院に行ったほうがいい
女の子に対してあんな
皆で寄って鷹って……
俺、差別なんて嫌いだ」
「貴方…馬鹿なの?」
「はっ?」
私は助けてもらった相手に
そんなことを言ってしまう
「アンバーが病院に行って
診てもらえると本気で
思っているの?」
「俺はただ、」
わかってる
彼は何も悪くない
差別を否定して
私もまた人なんだという
彼は善良な人間
私はただ自分が恥ずかしいだけ
彼や銀に助けてもらわなければ
何も出来ないことに