檻の中から捧げる君への嘘
「ムカつかないの?」
「別に」
「ムカついたら殺せばいい
罪には問われないから」
「殺さない」
アンバーは簡単に殺されてしまう
少し気にくわなかっただけで
人間に楯突いて
理由は色々あるけど
「そう……」
私たちの間に沈黙が生まれる
その沈黙を破ったのは
彼でも私でもない
「待たせた…
そういえば君、名前は?」
銀は私たちのもとに戻ってくると
彼に問いかける
「あ、……神田藍」
「そうか、俺は見物小屋の
支配人、鷹野銀だ
世話になった」
銀は藍という男に礼を言うと
私の手を引いて歩き出す
「あ!君は?」
思い出したかのように
私に訪ねてきた彼に
振り向き自分の名前を告げる
「っ、苑
ありがとね!藍!」
「////」
感謝の言葉も付け加えて
「…………いくぞ」
そして銀によって
歩くことを余儀なくされ
私は銀に手を引かれながら
小屋に戻る道を歩いた