檻の中から捧げる君への嘘









歩いていて気づいた



銀……機嫌悪い?




握った手も離してはくれない



むしろ、握っている手に



力が入っている








「あの…」




「あの男のことは


簡単に名前で呼ぶんだな」





それはどういう意味なのか



理解が出来なかった




歩くスピードが早くなり



合わせるのに必死になる








「………………すまない」




なぜ謝るのかも


私には理解出来なくて


ただ彼に引かれるまま


小屋についてしまった






荷物を彼の部屋におき


金平糖を受けとると


皆のいる檻へと向かう




その間も銀は黙ったままで


聞きたいことは何も聞けなかった











< 24 / 33 >

この作品をシェア

pagetop