檻の中から捧げる君への嘘
歩いていて気づいた
銀……機嫌悪い?
握った手も離してはくれない
むしろ、握っている手に
力が入っている
「あの…」
「あの男のことは
簡単に名前で呼ぶんだな」
それはどういう意味なのか
理解が出来なかった
歩くスピードが早くなり
合わせるのに必死になる
「………………すまない」
なぜ謝るのかも
私には理解出来なくて
ただ彼に引かれるまま
小屋についてしまった
荷物を彼の部屋におき
金平糖を受けとると
皆のいる檻へと向かう
その間も銀は黙ったままで
聞きたいことは何も聞けなかった