檻の中から捧げる君への嘘
いつものように決闘を終えた私は
いつものように檻に戻り
いつものように檻の隅に座った
そして
いつものように足をかかえようとした
「おい、お前」
その声と同時に目の前に
差し出されたのは
丁寧に封筒に入れられた手紙
ファンからのものか?
いや、にしては飾り気がない
それに見張り番を通して
渡すはずがないか
私はとりあえず
その手紙を受けとる
それを渡した男は
私が受け取ったのを確認すると
何事もなかったかのように
見張り番の仕事に戻った
誰からの手紙なのかは
教えてはくれなかったので
さっそく手紙を開く
『苑、久しぶり
覚えてるか?前に街で会った神田藍だ』
「あ……い」
私は過去の記憶から
神田藍という人間を思い出す
私の脳裏に
茶髪で私よりも少し背の高い男が浮かぶ
あの…変な男か
『今日の夜、小屋の裏に来られるか?
23時、待ってる』