ピンクの箱
翌日
「やっと委員会終わった....」
机の上につっ伏す。
よし...!
いちごミルク買いに行こ!
急いで階段を下りて靴を履き、
校門を出て、あの自販機へ向かう。
自然と少し小走りになる。
すると、
自販機の方からガコンッと音がした。
取り出し口から
ピンクの箱を取り出したのは...
「...大野くん?」
「あ、佐伯さん。はい、これ。」
大野くんは私に、ピンクの箱を手渡した。
いちごミルク。
「えっ...これ、いいの?」目が丸くなる。
「うん、俺いちごミルク苦手だから。」
じゃあ何で、買ったんだろう..
いつも無表情な彼から、何を考えているのかが読み取れない。
「って...
私もなにかお返しする! どれがいい?」
自販機の前に立ってプラスチックの奥に潜む色とりどりの箱を見渡す。
すると、
「佐伯さんは
いちごミルクが好きなんだよね?」
私の顔に自然と笑みがこぼれる。
「うん、好き... 「それ。」
「え?」
大野くんはニッと笑って、
「俺はその、
佐伯さんのふにゃっとした笑顔が好き。
だから、お返しは今もらった!」
初めて見た大野くんの笑顔にキュンとしながら、一瞬で頬が赤くなるのが分かる。
「〜〜〜〜〜〜っ!」
「だからさ」
私の目を見て、大野くんが続ける。
「またその笑顔見たいとき、いちごミルク 買ってくるから。貰ってくれる?」
大野くんの頬もだんだん紅潮していく。
その日の帰りは
大野くんと桜道を歩いた。
手を繋いで。