Crystal Sky 〜お姫様は、魔法使いに恋をする。〜
一瞬で気に入って
タグ、見ようと思ったんだけど
「…見本?」
そんなに広くない店内には
赤いガムマシンとか
顔のついてる、プラスチックの椅子とか
三つ引き出しついてる、金と白のタンス
そして
メガネかけたお爺さんが レジに 一人
"うちの島の子らは
歩くより先に、泳げる"とか
大人の人達がいうくらいで
使う事とか あまりないんだけど
… みんな、夏休みになったら
海行きたいね〜とか話してて
多分、こんなに気になるのは
そのせいかもしれない
… でもこれ、高いんだろうな
なんか、中も …
バイトしてからじゃないと
ムリかなあって思ったけど
島のは結構、競争率 激しくて
今からだともう 埋まってる気がする
夏休みの間は、お祭りとかもあって
船の本数も増えるし
時間とかも遅くまであるから
この辺でバイト、する事もできるけど…
でも高校生で 出来る場所は
ファーストフードとか
限られててて
… それにわたしは
おしゃべりするの、ニガテだし
正直、学校の事もあって
知らない人 たくさんいる所は
なんか、今は 怖い…
肩、へんに、ビクッとなって
頭振って その場から 離れようとした時
「―――… え 」
強い風
ふわり浮き上がった
アヒルちゃんの影に
"夏休み"
"アルバイト募集"の
手書きのチラシが
ひるがえった ――――