Crystal Sky 〜お姫様は、魔法使いに恋をする。〜
「あ…っ あの…っ!!!」
後ろでバタンと閉まる扉
一気に出てくる冷たい汗 ―――
"夏休み、バイト したいんです!"
"高校生でも、大丈夫ですか?!"
多分、言った気がする
でも もしかしたら
頭の中で、叫んでただけかもしれない
だって
足はガタガタ震えて
差す指は外
それで、目は
お爺さんの顔と、表を
交互にグルグル見てるだけ
… へんだよ これ
顔、カァッてなって行くのがわかって
慌てて外に 走り出そうとした
「アルバイト ですか?」
椅子の ギシッときしむ 音がして
わたしは 思いきり
お爺さんの方に振り返る
「七月が、お誕生日なんですね
午後からお願いしたいのですが
時間は、大丈夫かな?」
わたしは思いきり、唇を噛んで
お爺さんに向かって、頷いた ―――…