Crystal Sky 〜お姫様は、魔法使いに恋をする。〜
「なしけん?!
なしけんイカンなん?!」
「当たり前だ」
家の居間
オロオロしてる、お母さん
朝ごはんの時
バイトするよって言ったら
お父さんが急に、ダメって言った
… 信じられん
びっくりして、理由聞いても
新聞読みながら、話半分な感じで
『当たり前』って、繰り返すだけ
「あ…当たり前っち…!!
お父しゃんは
うちか高校生になりよったら
アルバイトしてよかっちて…!
前と、言うとる事違う!!」
「家でやればよか言う意味だ
外で、しかも島の外なんてイカンだ
… そん店には、俺か断りの電話してやる」
「なっ…!!
へ…っ
ヘンな所じゃなかよ?!
駅前の…ちかっぱ、むぞらしか」
「とにかく、イカンだ」
「そ…そんなん
ただダメって、わ…わかんなかか!
ぴしゃーっと、理由言うてか!」
「スイこそ
なしけんそげんに、バイトしたいんだ」
「…だ…ばってん…
――― そ…!楽器げな!!
うちずっと、自分のギター」
「楽器?
… スイが歌っちるのなんて
お父しゃん聞いた事、最近、なかな」
「――― …」
「学校も、サボっちるようやし」
新聞
めくる音