Crystal Sky 〜お姫様は、魔法使いに恋をする。〜
帰る頃
雨になった
―― カサ ないや
元々、いつも暖かいから
島の人は、少しくらいの雨なら
カサ あまりささないけど…
「スイ 行くぞ」
魔法使いが、黒いカサを 拡げる
当たり前みたいに
横には、わたしが入る場所が あいてた
相合い傘 …―――
頭の上で、パタパタ
水玉がたくさん はじける音
あじさいの咲く
紫色と、ピンクの坂道…
服… 勇気だして
つかもうと、思ったんだけど…
「――― んじゃ、また明日な」
足元と、視線の左に
家のあかりが見えてしまった…
元気に『ありがとう!』って笑って
引き戸開けて、中に入ればいいのに
足が、それを嫌がって
かなり長い間 突っ立ったままだった…
「カゼひく
早く中 入れや」
「――…」
「明日、会えるだろ」
―――… 明日