Crystal Sky 〜お姫様は、魔法使いに恋をする。〜



「まあたこんなところで…
こんな遅くまであぶないぞ〜」


「大丈夫ちゃ」


「な〜」


「…最近はこの辺も
島の人間ばかりじゃないんだし」


「え〜 ヨッチャンだって
元は、東京の人やけん」


「俺はいいだろ」


「ヨシくん、配達の帰りなの?」


「ホテルにな!いいから乗んな〜」




『ぶん』って一回
馬がいななくみたいに
タオル巻いたヨッチャンの
白い軽トラが唸る




ヨッチャンは、二年くらい前に
この島にふらりとやって来た人
その前の事は、よく知らない




キャーキャーいいながら
カブの入ったダンボールと


キャベツの葉っぱが落ちてる
後ろの荷台に、三人でなだれ込んだ




両手をひろげ
寝転がると星空


ラジオから、知らない曲 ―――




わたしが あの星の名前を知らないように


あの星も


わたしの名前を知らないんだなあ…







< 30 / 382 >

この作品をシェア

pagetop