Crystal Sky 〜お姫様は、魔法使いに恋をする。〜
「ごちそうさまでした!」
「ごちそげんしゃま」
「まぁた、きんしゃいねえ〜」
真っ赤な夕日
海も赤
船と、建物の影だけが黒い
… 魔法使いは なにも聞かない
わたしが制服着てるの、わかってるのに
竿、持ってる腕
よくみたら、足は素足
サンダルを サリサリ言わせながら
少し大股で 港に向かう坂を 進んで行く
もう少し、話したくて
… ううん
ただ、 一緒に、居たいのかな…
小声で何か歌ってる
その後ろ姿を追いながら
わたしも 同じリズムで
歩幅を合わせる
―――― 港
防波堤のそばの、駐車場
"W"みたいな字がついた
… 暗くなって来たから
はっきりした色は、わからないけど
ペパーミントグリーンした
四角い、かわいいクルマに
魔法使いは、一度戻った
「どれにしようか」
しゃがんだ 足のところには
パカリと開いた 宝石箱