夏の前の日

「まじでな。うけるけん」

手に入ればそれでよかった。

リンが長く付き合っていた男と別れた
ってのを耳にしてから
必死にくどきおとして付き合い始めた。

それでも俺は女遊びをし続けた。
リンから離れないのを分かってたから。

「お前、一途になったな。
 泣かせたらしばくぞ?」

ケイスケにケラケラ笑われながら
頭をド突かれた。

ケイスケも、リンが男と別れてから
リンに必死だったヤツの一人。
俺よりも親しい仲だったから
何も発展はなかったらしいけど。

『リンもケイスケのこと好きだもん』
なんてよく言うから
俺の気持ちはいつもヒヤヒヤ。

離ればなれになっている間の
心移りが怖い。

リンを信じていないわけじゃないけど
俺のいない間は
俺じゃ寂しさは埋めてあげれないから。




「よく飲んだっすわ」

「ケイスケ、ありがとな」

「ケイスケありがとう」

ケイスケが会計を済ませて
店を出る。

「このあと、どーするっす?」

完全に出来上がってるケイは
いつもより調子がいい。

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