夏の前の日
「いつまで?いつから?」
「10月末からくらいから。
一応は1か月かな。分からん」
そっけないリン。
久々に仕事が終わって
まっすぐ帰っての話。
10月に入ったすぐだった。
「分からんって・・・。
俺はどーすんだよ!」
「は?毎日女といるのリン、
知ってんだよ!
今日までリンはどーするのって
思ってた!勝手すぎるよ!!!」
毎晩、両手の数ほどの女と
とっかえひっかえに遊んで。
数日帰らないことなんて
ざらにあって
リンからの連絡も無視して
思うがままにすごしていた。
「もう、リン辛いよ…」
ここ数日で増えたピアスに
俺は気づいていた。
すがれる人間がなきゃ
壊れてしまうことも
こいつのプライドが異常に高くて
人に媚びることもしないリンが
頼るものなんて
一本のニードルとドラッグしか
なかったのもわかってたのに。