夏の前の日

「ユウ!!!」

改札から大きなキャリーバックを転がして
俺のもとへ走ってきた。

「荷物、ちょー重そう。大丈夫か?」

「へーき」

「リン、お前痩せた?
 あとネックレスありがとな」

既読のつかなかったありがとうのライン
直接言えてよかったって思ってる。

「彼女に迷惑してないか不安だったけん。
 家行ったらまずいじゃろ?
 駅ビルで何か食べよっか」

「俺、女とかおらんけん」

「へ?またまたぁ。騙されんよぉーだ」

「まじじゃけん」


疑われても仕方ない。
それは俺のせいだから。


「じゃけん、家行こ?」


最後くらい2人でゆっくりしたい。
リンを見るのも、会うのも、
最後かもしれない。

「えー」

「女がおるってことに勘繰るなら
 問題ないって言っとんじゃけ」

俺の押しに甘いリンは渋々家に来た。

「お邪魔します」

「固苦しいのな、やめろや」

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