夏の前の日


しばらくは接見禁止で
リンとは連絡をとれていないし
俺が会えるのは弁護士だけ。

弁護士経由で伝えてもらったけれど
リンからは手紙が来ないまま
12月になった。


「明日から、接見禁止解けますよ。
 彼女さんに連絡しときましょうか?」

「―――お願いします」


もう、限界だった。

リンが広島にいるとも分からない。
だったらどこへ手紙を出せばいい?

連絡手段がわからなかった俺は
弁護士に縋ることしかできなかった。

リンは面会に来てくれるだろうか?
ーーーもう、無理なんだろうか。


そんなことを思いながら俺は眠った。

起きて、そっけない朝食を食べて
ただボーっと過ごしていたら
警察官の人が俺の部屋の前に来た。


「190番、面会入りました。
 えーと友人の原田リンさんです、通しますか?」

「・・・!お願いします」

「はーい」

ーーーまさかだった。
リンが、来た。

関係は友人って、なんか寂しかったけど
会いにきてくれたことが嬉しくて
久しぶりに笑顔になった気がした。

面会室に行くと
最後に会ったときよりさらに痩せたリンが
そこに居た。
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