夏の前の日


夏の夕日を見ながら
隣町の神社まで行って

何かとたくさんのお願いごとをして
石段に座って二人でチルした。


人はずるい。

時に神は居ないと言って
時には神頼みをして

自分の都合で縋って
そんなんで神が俺に笑ってくれるなんて
甘いこと考えやしないけど

でも、もう少しリンと一緒にいたくて
それは神様にしかお願いできないような
そんな気がした。


「どーしよっか、これから」

「あんま外歩けないし
 街にも行けねーもんな。
 ・・・カラオケ行くか?」

「サンセー!」


二人とも大好きなカラオケに行って
思い切り歌った。

逃走?逃亡?
よくわかんねーけど

そんなことは忘れて歌いまくった。


「気持ちよすぎじゃろ!最高っ」

「だな」


楽しみたいのに、明日や明後日のことを
考えるとやっぱり落ち込む。

正気じゃいられない。
刑務所につっこまれるというか。
1年以上も檻の中ってことより

リンといられないってことが
ほんとに胸を刺すように辛かった。
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