夏の前の日

「ユウ・・・?」

「あっわりい。俺だった」


リンの持っているマイクを
貰おうとしたら
そのまま抱きしめられた。


「ユウ?泣いていいんよ?
 リンの前でなんで我慢するんっ」

「ーーーっ」


リンにどれだけ救われるんだろう。
なんでリンはこんなに強いんだろう。


「1人じゃないんよ、リンがおるじゃん。
 嫌なのも怖いのも分かっとる。
 じゃけ一緒におるんじゃん。
 楽しいときだけ一緒はつまらんじゃん」


心につっかえていたもが
流れていくように俺の目から
涙が溢れ出た。

俺は弱い。


「リンはずっとユウを愛し続けるし
 帰ってくるのを待っとくけんね?
 リンはユウが笑っとければ
 それで幸せじゃけんね」

「ーーーありがとう」


こんなちっぽけで
こんな弱い俺を
リンは未だに愛しているという。

他にも男は腐るほどおるのにーーー。
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