夏の前の日
一概にとらえるのは辞めよう。
俺も確かに、女は二の次だし。
多分、このときからリンには
惹かれていた。
「追い炊き、しよ」
「おう」
ジョイントを片手に微笑むこいつは
人間の顔をした悪魔。
それが分かるのはもう少しあと。
さらに吸ってハイになって
中に戻って酒飲んで
いい感じになったあと。
始発もまだ出ていない時間なのに
リンはどこかに消えて行った。
連絡先も聞かず、
ハッキリした情報もなく。
リンはいなくなった。