夏の前の日
リンは本当に元々身体が弱い。
貧血で倒れることもしょっちゅうで
持病の数なんて把握できているのすら
分からないほど。
21歳になったすぐに
リンは入院をして手術をした。
お腹にある傷が
コンプレックスだと本人は言う。
そのあとに医者からされた『余命先刻』
リンが東京に行くって言い出す
寸前だった。
原因、病名が不明の血液の病気って
リンは俺にひたすら言い続けた。
心配で毎日たまらない。
余命?
リンはこんな元気なのに。
病気?
毎日のびのびやってるのに。
毎日、一緒に居て
些細なことが分からないはずがない。
腹減ってそうなときも
俺に不満があるときも
眠そうなときだって
リンのこと何でも分かる。
病院くらいせめて
行って欲しい。
行かなくちゃ
自分で自分の首を絞めているのと
何も変わらないから。