夏の前の日

「ここ、何時までっけ?」

「15時じゃない」

まだ10時。まだ時間がある。
あと、5時間。

1年と少し。
味わうことのできないリンを
1分でも無駄にしないように味わおう。

そんで、いい時間を一緒に過ごそう。

「あがろう?」

「やだ。まだ、浸かってる」

ほんとに風呂が好きなんだと実感。
俺は大好きなすべすべのリンの肌に
触れたいというのに。

風呂場でのセックスはあまり好きじゃない。

たまに、勢いというか。
溜めきれなかったらヤっちゃうけれど。

リンにリップサービスを施せんけん。
肌に弾かれた水が俺を邪魔するから。

「俺に浸かれって。てか、浸れ」

「くっさ。馬鹿じゃないの」

口が悪いこの女。
でも、口元はニタリとしている。

俺の頬にキスをすると、立ち上がって
「また後で付き合ってよ」
そう言うと、立ち上がって俺に手を差し出す。

・・・俺の勝ち。
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