夏の前の日
「ユウのばか!死んだらどーすんの!」
「アホか。殺すわけないだろ」
ペチンと乾かしてる頭の先を
軽くぶってやった
「・・・・・・・・・けどな」
「なに?ドライヤーで聞こえん」
使ってたドライヤーをオフにして
顔を覗き込むと
涙を溜めた綺麗な目が俺を見た。
「ユウとなら死んでもいいけどな」
身体ごとこっちに向いて
抱きついてくる。
「やっぱ嫌だ!行って欲しくない!
今日が最後のデートなんて嫌だ!!!」
「ーーーっ」
思い切り抱きしめ返して
あの夏より長くなった髪を撫でた。
「もう離れんのんじゃろ!?
もう1人にせんって言ったじゃん」
初めて聞いた、リンの心の叫び。
悲痛が直に胸に響いた。
いままで何度も喧嘩して、
悲しませたり
泣かせたことはあったけど
いつも強気だったリン。
今日、初めて弱さを出した。