罪人と被害者
◆◆◆
「……」
起きて、想像以上に暖かい場所だと認識した。
家だったらこんなにいい匂いがしないし、どっかの安ホテルでは暖かくない。
えーと、昨日はどうしたんだっけ。
いつも通りカモ捕まえたんだっけ。
あれ?どうだったっけ…
「…あー…」
思い、出した。
よくわかんないおじさんに拾われて、それで寝たんだっけ。
視界はベッドの上。
黒い枕に黒い掛け布団。
シーツだけ白。
ふわふわして自分の体温で温められたそれに顔を埋めて、ハッとする。
「あ、あれ…おじさん…?」
いない。
この家の、この布団の家主がいないのだ。
てゆーか、僕布団に入った覚えもないんだけど。
おじさんと入ったんだっけ…?
「……」
記憶がやはりない。
僕変な薬でも盛られてヤられたんじゃ、と体を確認するも一一あ、知らない服着てる。
紺のチェックのシャツに、黒の半ズボン…のはずが、僕の足だと大きいみたいで普通のズボンになってる。
寝巻きっぽいな。
それも僕のサイズじゃない…おじさんの。
…それにしてもおじさんはどこだろう。