罪人と被害者

とりあえずベッドから降りて、捜索を開始する。


寝室はクローゼット以外になにもなくって、無駄なものを好まない性格なのだとわかる。

部屋はなんだか高級そうで、絶対おじさんお金持ちだよなぁ。

殺風景な廊下を歩く。

リビングにつけば、唯一の色物と言っていい目立つ緑のカーテン。

それ以外はほとんど黒白紺。



ガラステーブルの上の紙の束を見つけた。

「…ぅえ…」

どうやら仕事の資料のようだけど、文字ばっかで見たくもない。

頭いいのかなぁ。

に、してはやってることバカだよな。僕拾ってやりもしないで泊めてるんだもん。



「…おじさーん?」


キョロキョロと部屋を見渡して、何インチかわからないほど大きなテレビの前のソファに一一おじさんの茶色がかった黒髪をみつけた。



「あ…!」



嬉しいような気がして、ぶんぶんと首を振る。

しらないところで誰もいないってのが怖かっただけ。おじさんを見つけて嬉しいわけじゃないんだ。


急いでソファに回って、おじさんを確認する。


無精髭の生えたおじさんは、なんだかやつれてるようだった。


…男にしては端正な、それでいてどこか野生的な顔をしている。

だけどどこかインテリ臭さの漂う、なんだか不思議な雰囲気な人だ。

言うなれば野心を持ったエリート、というか。


みるものの印象に残る人物だ。


ラフな格好…といっても黒のシャツだけど、それにグレーのスウェットみたいなのを着ている。

お風呂の後そのままなのか、肩にはタオル。



「…お、おじさーん…?」



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