罪人と被害者

朝ごはんは、なんとカップ麺だった。



「……」



この人、ここまでは完璧だったのに。

服の趣味に部屋の整頓、顔に収入…とまできて、神様はここで料理できないというハンデを与えたみたいだ。


「…ねぇおじさん?」

「俺は料理ができないんだ。下手にあがいて嫌な思いをするのとどちらがいい?」

「いやまあそうだけどさぁ〜」


正論なのがムカつく。

開き直りやがって。


「そもそも」


ズルズルとカップ麺をすすりながら言う。

居候のくせに文句を言うな、とかいうのかと思ったら。


「俺は手が大きいんだ、細かい料理や裁縫には向かない」

「いやいやいやいや!」


それは違うよ!?

手が大きい人でも器用な人はいるし。

何ボケてんだよ。



「大きいとフライパンとか回したり、卵割ったりやりやすいじゃん…なに?裁縫もできないの?」

「裁縫と料理だけができない」

「それ以外は完璧みたいに言うなよ〜」


なんかそんな感じするけどさ!


呆れながら啜っていると、視線を感じた。

「……そうか、お前は成長期だよな。

まともなもんくわなきゃなぁ…」


「彼女とかいないの?」


「いたらこんな殺風景な部屋にはいない」


確かに。


もう少し彼女の写真とかお揃いのコップとか、そういう華やかなものがあるはず。


「安心しろ、近所に惣菜屋が「料理くらいならできる」




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